中3です。「電子のやり取り」の法則って…?
中学生から、こんなご質問をいただきました。
「イオンができるときに、
電子を“やり取り”する数は、
どうやって決まるのですか?」
すばらしい質問ですね!
結論から言うと、
原子番号1(H)から20(Ca)までは、
周期表で分かる、
というのがお答えです。
大事な部分を、以下でお話しますね。
中3理科の教科書では
「発展」のページなので、
授業では習わないかもしれません。
でも、高校化学では学習するので、
来年につながる、実力アップの
ポイントになりますよ!
■まずは準備体操から!
電子の“やり取り”って、何のこと?
と思った中3生もいるかもしれません。
でもそんな皆さんは、
こちらのページをまだ読んでいませんね?
マイナスの電気をもつ「電子」の話と、
電子のやり取りによって
原子が「イオン」になる仕組みを、
詳しく解説しています。
読んだ後に戻ってくると、
“すごく分かるようになったぞ!”
と実感がわくでしょう。
理科のコツは、基礎から順に
積み上げることです。
さあ、成績アップへ、行きますよ!
■電子の飛び回る軌道
では、準備を終えた中学生に向けて、
本題へと進みましょう。
原子というのは、
中心にある原子核と、
その周りを回る、-の電気をおびた電子
からできていますね。
そして、この電子は、
原子核の周りを、デタラメに
飛ぶのではありません。
決まった軌道(通り道)があります。
原子核から、一定距離の
軌道を回っているのです。
イメージとしては、
地球の周りを回る、人工衛星の
ようなものです。
(気象観測用に打ち上げられた衛星は、
地球の周りを、一定距離を保ちながら
回っていますね。
その写真が、天気予報に役立ちます。)
原子の話に戻りますが、
原子の周りの軌道(= 電子の通り道)は、
1つではありません。
・内側の短いコース
・その外側の、少し長いコース
・さらに外側の、もっと長いコース
のように、何本もあります。
(原子を中心とした、同心円です。)
内側の軌道はせまいので、
そこに入れる電子は、最大2個です。
内側から2番目の軌道は、
もう少し広いので、電子が8個入れます。
―― こんな風に、
各軌道に、入れる電子の数は
決まっています。
ちなみに、
それぞれの軌道に、
ぴったりの数の電子が入ると、
原子は安定します。
(内側から数えて、
1つめの軌道:2個
2つめの軌道:8個
3つめの軌道:8個
が、電子をぎゅっと
つめこんだときの数となります。)
こうした理由で、
たとえば――
電子を3個持っている原子は、
1個を誰かにあげようとします。
内側の軌道が2個ちょうど
なのに対して、
2つ目の軌道にある1個の電子が、
余っているからです。
(余っていると、安定できません。)
また、たとえば――
電子を17個持っている原子は、
誰かから1個をもらいたがります。
内側の軌道に2個、
2番目の軌道に8個、
ここまではぴったり入っていますが、
3番目の軌道に、電子が「7個」なので、
“1個足りない…”と
うずうずしているからです。
したがって――
準備体操のページで、
・塩素(Cl)の電子は17個
・だから電子を「1個」ほしがる
と説明したことが、これに対応しています。
“なるほど!”
と納得の声が聞こえてきますね。
…
■「周期表」を見てみよう
さて、ここで――
教科書の「周期表」を見てみましょう。
H He
Li Be B C N O F Ne
Na Mg Al Si P S Cl Ar
K Ca
「原子番号 = 電子の数」でしたよね?
(これも大事なコツですよ!)
電子の数は、
「2個」で安定し、(※ 内側の軌道に2個)
「10個」で安定し、(※ 内側に2個、2番目に8個)
「18個」で安定します。(※ 3番目の軌道に8個)
周期表で確認すると、
・原子番号2(電子が2個) → He
・原子番号10(電子が10個) → Ne
・原子番号18(電子が18個) → Ar
これらの原子は、
◇周期表の一番右の列
に対応しています。
つまり――
周期表の一番右の列が、
「安定して存在できる」状態の原子なのです。
準備体操で紹介した、
ナトリウム(Na)は、電子が11個でしたね。
軌道上の電子は、
一番内側に2個、その外側に8個、
さらにその外側に1個。
⇒ 1個が余っているので、1個を放出。
電子を失うと、
ネオン(Ne)と同じ状態になって
安定するというわけです。
こうして電子を失ったナトリウムは、
ナトリウムイオン(Na⁺)になります。
…
<おまけ>
電子をあげたり、受けとったりする、
“やり取り”の補足です。
「陽イオン(+)」「陰イオン(-)」を
周期表の上に書くと、こんな感じになります。
1+ 2+ 3+ 3- 2- 1-
H (He)
Li Be (B) (C) (N) O F (Ne)
Na Mg Al (Si) (P) S Cl (Ar)
K Ca
「1+」というのは、
電子が1個余っているので、
それを誰かにあげ、
電子を失った分、プラスの電気を
持つということです。
「2+」というのは、
電子が2個余っているので、
それを誰かにあげ、
電子2個を失った分、
2倍強い電気を持つということです。
また、「1-」は、
電子1個をほしがり、
他からもらってくることで、
電子1個分の、マイナスの電気をもつ
という意味です。
周期表の上に、
こうして「1+」「2+」などと
書き込むのがコツですよ!
なお――
( ) がついているものは、
イオンになりません。
特に、一番右の列は、
最初から安定しているので、
電子のやり取りをしないからです。
これで納得ですね!
…
さあ、中3生の皆さん、
次のテストは期待できそうですね。
定期テストは、「学校ワーク」から
たくさん出ます。
スラスラできるよう、
繰り返し練習しておきましょう。
理科もグンと、上げられますよ!
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私は10年間で200名以上の中学生の生徒さんを指導してきましたが、そのうち8割以上が「塾に行っても成績が上がらない」という悩みを抱えていました。しかし、多くの中学生の生徒さんを教える中で、そんな生徒さん達に共通する特徴があることが分かりました。⇒続きはこちら
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